唾液の大切な役割について

体調の変化と共に唾液の量が減ることで舌苔が増えたり、歯肉炎を起こしたり、虫歯が急に進行している患者さんを見かけます。
日頃は軽視しがちですが唾液には非常に大切な役目があります。
唾液の役割

  1. 1.熱いものを食べた時、火傷しにくいように守る
  2. 2.話したり、飲み込んだりする時に、舌や口の動きをよくする
  3. 3.虫歯菌に溶かされた歯を元に戻す
  4. 4.虫歯菌が出す酸を中和する
  5. 5.細菌が体に入らないように守る
  6. 6.食べ物を消化する
  7. 7.味を感じさせる
  8. 8.水を欲しがる

 

唾液の減少で起こる事

お口の悩み
  1. 1.歯周病が進行しやすくなる
    歯周病菌はもともと口の中に住んでいる細菌です。
    唾液によって細菌の数や割合がコントロールされています。
    唾液の抗菌作用がなくなると毒性の強い歯周病菌が多く繁殖しやすくなります。
  2. 2.カビが生える
    口の中は適度な温度と湿度でカビが生えやすい環境です。
    唾液の抗菌作用や洗い流す作用 によって清潔に保たれています。
    唾液が減ると口の中にもともと存在するカンジダ菌というカビ菌の一種が繁殖し、歯茎の痛みやピリピリ感が出やすくなります。
  3. 3.口内炎ができやすくなる
    舌や口の中の粘膜に傷が付きやすくなり口内炎ができやすくなります。
    粘膜は唾液によって保護され、殺菌されています。
    唾液が減ると食べ物や歯が粘膜に擦れ、傷ができて口内炎ができます。
  4. 4.入れ歯が痛くなったり取れやすくなる
    唾液が減ると入れ歯の調子が悪くなります。
    入れ歯は粘膜の上に乗っています。
    唾液が減ると粘膜が乾き、入れ歯が歯茎と擦れ、痛みが出ます。
    また、入れ歯は唾液によって粘膜とくっつくように出来ています。
    唾液が減ることによって入れ歯が落ちやすくなります。
  5. 5.口臭が強くなる
    口の中は細菌が多い場所です。
    唾液の殺菌作用などによって細菌の量や割合がコントロールされています。
    唾液が減ることで細菌の数や割合が崩れ、口臭が強くなります。

 

唾液が少なくなる原因

薬の服用
  1. 1.薬の副作用
    自律神経、花粉症、高血圧の薬などの中には唾液の量を少なくしてしまう副作用があります。
    特に精神科で出される薬に唾液を少なくする成分が多く含まれます。
  2. 2.更年期障害
    唾液の量は年齢とは関係がないと言われていますが、更年期障害になると少なくなる方がいます。
    口の中が乾く感じや歯茎の違和感を訴える方が多いです。
  3. 3.シェーグレン症候群
    自己免疫疾患のひとつで、自分の免疫細胞が唾液腺を攻撃して壊してしまう病気です。
    そのほかにも涙腺を攻撃するためドライアイやドライマウスなどになってしまう病気です。
  4. 4.X線治療
    がんの治療で放射線を唾液腺に浴びてしまうと唾液が少なくなってしまいます。
    がん治療 の放射線は強力なため唾液腺が破壊されてしまい唾液の量が少なくなってしまいます。

 

唾液が減って来たと感じたら、、、

唾液を増やす為にどなたにもお勧め出来て覚えておくと役に立つ“唾液確保の為の水分の補給に適した方法”や“舌の運動”をお伝えします。

水分補給法
水分補給法

唾液の確保には水分の補給が必要不可欠ですが、水分なら何でもOKというわけではありません。
お茶には唾液の分泌を抑制する作用を持つポリフェノールが含まれているためNGです。
また、ジュースや牛乳は口中のpHを下げニオイの原因になりやすいため水がベストといえます。
水分補給のコツは、食事やのどが渇いたとき以外に時間を決めてまとめて飲むことです。

《摂取量の目安》
一日1.2lですが、特に朝の歯みがき後に約250ccの水を飲むと唾液の分泌がスムーズになるためお勧めです。

《摂取のタイミング》

  1. 1.朝の歯みがきの後
  2. 2.朝食と昼食の間(午前10時頃)
  3. 3.昼食と夕食の間(午後4時頃)
  4. 4.夕食と就寝時の間(午後10時頃)

舌の運動
舌の運動舌の運動により唾液腺を刺激し、唾液の量が増えたと実感される患者さんは多いです。
私は「薬を用いるほどではないが、唾液の量が減っている」と感じる患者さんには「舌根の運動」をお勧めします。

舌を上下口唇と歯茎の間を時計回り、反時計回りで10回ずつ回転させます。
初めてやると普段使わない筋肉を使うので結構大変ですが、終わった後に唾液が充満してくるのを実感できます。

電動歯ブラシの注意点

検診で普段のブラッシング方法を聞くのですが電動歯ブラシをオンにしてなおかつ歯ブラシのように動かしている方がいました。
それだけが原因ではないですが歯茎が下がり気味 (歯肉退縮)でした。
 

電動歯ブラシの特徴

音波水流
  1. 1.振動式歯ブラシ
    数百円から買えるお手頃価格で往復運動をするが振動回数は毎分数千回と低め。
    乾電池のものはとにかくパワーが弱いのがデメリットです。
    毛先に歯が触れる事で汚れを落とすというメカニズムです。
    単純に高速移動するだけなので使い方を誤ると歯や歯肉にダメージを与える事になります。
    安価なものは替えブラシはなく使い捨てタイプが多いようです。
  2. 2.回転式歯ブラシ
    歯ブラシが丸い形で回転するタイプのものです。
    普通の歯ブラシの形では届きにくい歯の裏側や歯と歯茎の境目、奥歯によく毛先が届くのが特徴です。
    大きさや振動がやや大き目なのがデメリットです。
  3. 3.音波式歯ブラシ
    振動式の歯ブラシに音波を発生させて歯垢を除去します。
    毎分三万から五万回ほど振動するとされている。
    毛先を直角に歯に当てて汚れを落とすのと同時に音波の振動による高速水流や発生する細かい気泡が毛先の当たってない2~3ミリ離れた周囲 の歯垢も落としてくれます。
  4. 4.超音波式歯ブラシ
    超音波は歯垢を剥がす効果が音波式より高く細菌同士の連鎖を断ち切る事で歯垢を付きにくくします。
    また歯や歯茎の細胞活性化する効果があるため歯周病の改善にも効果があると言われています。
    毎分100万回~150万回の振動で動き音は人間では聞き取ることが出来ません。
    電動歯ブラシだと誰でも綺麗に磨けるというわけでは無いと思います。
    電動歯ブラシには 電動歯ブラシ用の磨き方がありそれを知らずに普通の歯ブラシと同じように動かしていると全く意味のない結果になってしまいます。
  5.  

    電動歯ブラシの正しい使い方

    まず、歯磨き粉ですが高速で振動する為研磨剤が入っているものはオススメしません。
    また 発泡剤入っているものも口の中が泡で一杯になってしまうのでオススメしません。
    何も付けないか、研磨剤も発泡剤も入っていないジェルタイプの歯磨き剤がオススメです。

 

歯ブラシの当て方

音波水流
  1. 1.口に入れてからスイッチを入れる
    歯ブラシに歯磨き剤を付けたら歯にぶつかったりジェルが飛び散ったりしない様に口に入れて磨く歯に当ててからスイッチを入れてください。
  2. 2.歯に軽く当てる
    電動歯ブラシにはパワーがあるので決して歯に押し当てない様にしましょう。あくまでも 軽く当てる程度です。
  3. 3.歯に当てる角度
    咬合面は歯に対して90度が適切です。
    歯の側面は歯に対して90度、または45度。
    歯周病対策には45度に傾けると歯と歯茎の間の汚れが効果的に落とせ、歯茎のマッサージにもなります。
    そして前歯の裏側は縦にして一本ずつ磨きます。
  4. 4.ゆっくりスライドさせる
    基本的に横にゴシゴシする必要はありません。
    当てているだけで十分です。一箇所に付き数秒間毛先を当てて徐々にスライドさせます。
    ただし例外として超音波歯ブラシは普通の歯 ブラシの様にゴシゴシと動かす必要があります。
    製品によってはブラシを交換できるタイプがあります。
    毛先の消耗や衛生的な面で考える と2~3ヶ月に一度交換することをオススメします。

 

まとめ

電動歯ブラシ電動歯ブラシも普通の歯ブラシも正しい磨き方が出来てこそキチンと汚れが落とせるものです。
電動歯ブラシをうまく使いこなすためには普通の手磨きがキチンと出来ている必要があります。
磨き方の基本ができていなければどんなに高性能な物を使っても十分な効果が得られないばかりか逆にパワーの強い電動歯ブラシによって歯や歯茎を傷めてしまう事になりかねません。
また電動歯ブラシだけでは磨けない歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシで磨く様にしましょう。